オーストリア国内の映画ロケ地
ジェームズ・ボンドやイーサン・ハントといったスパイたちが姿を現し、ブリジット・ジョーンズやビートルズはスキーを楽しみにやって来ました。『サウンド・オブ・ミュージック』の旋律は今でもザルツブルクの山々に響き渡り、特急列車の中ではセリーヌとジェシーのような恋が生まれているかもしれません。ウィーンの地下道では、『第三の男』の足音が、今にも聞こえてきそうです。
時代を超えて数々の名作が撮影された、オーストリアのロケ地の数々をご紹介します。
第三の男 (1949)
アメリカからウィーンにやって来たホリー・マーティンズは、旧友であり雇い主になるはずだったハリー・ライムが自動車事故で亡くなったことを知らされます。彼の死に疑問を抱いたホリーが調査を始めると、やがて事態は表向きとはまったく異なる様相を見せはじめ――。
第三の男ミュージアムは、作品の大ファンが個人的に蒐集した圧巻のコレクションを展示する博物館。テーマ曲を演奏したチターや、本物の台本・小道具、第二次大戦後のウィーンの資料、公開と同時期に使われていた映写機、JR恵比寿駅の発車ベルの録音まで、その充実ぶりは驚異的です。
第三の男ツアー(The Thrid Man Tour)では、特に印象的な地下下水道のシーンをはじめ、街の地下に広がる撮影場所を見学します。人気が高いので事前予約をおすすめします。
サウンド・オブ・ミュージック (1965)
このアカデミー賞受賞の名作ミュージカルでは、クリストファー・プラマーが厳格なトラップ大佐を、ジュリー・アンドリュースが自由奔放な家庭教師を演じています。彼女は7人の子どもたちの世話をするうちに大佐と心を通わせ、やがてふたりは恋に落ちます。しかし、第二次世界大戦の勃発とともに、家族はオーストリアからの逃亡を余儀なくされるのです。
映画撮影時に俳優やスタッフの移動を請け負ったパノラマツアー社が実施するオリジナル・サウンド・オブ・ミュージック・ツアーでは、以下のようなロケ地を効率よく巡ります:
ミラベル庭園とペガサスの泉(ドレミの歌のシーン)
ノンベルク修道院(マリアの出身修道院)
レオポルヅクロン宮殿(トラップ大佐邸)
ヘルブルン宮殿のガゼボ(2つのカップルが愛を歌うシーン)
モントゼー教会(マリアと大佐の結婚式のシーン)
ヘルプ!4人はアイドル (1965)
ビートルズがオーバータウエルンにやって来た!彼らは映画の撮影地として、雪の確実性が高いオーバータウエルンを選び、静かな村を数日間、ポップカルチャーの中心地に変貌させました。
オーバータウエルンのビートルズ関連のスポットには、エーデルワイスホテル前のビートルズ像、グリュンヴァルトコプフ山駅にあるビートルズのピアノ、そしてキルヒビューヘルリフトのビートルズ記念碑があります。
007/リビング・デイライツ (1987)
ティモシー・ダルトン演じるジェームズ・ボンドは、KGBの脱藩者暗殺政策を調査するために派遣されます。ボンドがこの脅威を追い詰める中で、アメリカの不正な武器商人とロシアの暗殺者たちが関わる陰謀が明らかになります。
映画の中でブラチスラヴァとして登場するシーンは、実はウィーンで撮影されたもので、フォルクスオーパー(Volksoper)やゾフィエンザール(Sofiensäle)などが使われています。またラストシーンはシェーンブルン宮殿(Schloss Schönbrunn)で撮影されました。
また、国境でのカーチェイスはオーストリア南部のケルンテン州(Kärnten)で行われ、ナスフェルト(Nassfeld)やヴァイセンゼー湖(Weissensee)周辺の雄大な自然が登場します。
ビフォア・サンライズ/恋人までの距離 (1995)
アメリカ人のジェシー(イーサン・ホーク)とフランス人のセリーヌ(ジュリー・デルピー)は、ブダペストからパリに向かう列車の中で意気投合してウィーンで途中下車することに。翌朝までという限られた時間の中で、二人はウィーンの街角を歩きながら、心を通わせていきます。
ジェシーとセリーヌの足跡を辿ってみましょう(順不同):
ウィーン西駅 - 近年改装され、映画撮影当時とはかなり異なります) - ツォルアムツシュテグ橋 - ヴォティーフ教会(Votivkirche) - リング通り(Ringstraße) - ブルク劇場(Burgtheater) - マリア・テレジア広場(Maria-Theresien-Platz) - プラーター公園と観覧車(Plater) - クライネス・カフェ(Kleines Café) - マリア・アム・ゲスターデ教会(Maria am Gestade) - ドナウ運河(Danube channel) - シピッテルベルク(Spittelberg) - アルベルティーナ(Albertina)など
セブン・イヤーズ・イン・チベット (1997)
ブラッド・ピット演じるオーストリア人登山家ハインリヒ・ハラー(ブラッド・ピット)がチベットに滞在した実話を元にした物語。第二次世界大戦中にイギリス軍の捕虜となったハラーは、チベットにたどり着き、ダライ・ラマ14世と出会って深い絆を結びます。映画はその7年間の滞在と、彼が成長していく様子を描いています。
ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうな私の12か月 (2004)
ブリジット(レネー・ゼルウィガー)は、マーク・ダーシー(コリン・ファース)との関係に不安を感じ始めます。新しい上司との関係に悩む中、彼女は最悪の休暇を過ごすことに。ウィーンから離れ、レッヒ・ツアース(Lech Zürs)のスキー場でスキーを学ぼうとしますが……。
ブリジットみたいにレッヒ・チュルスでスキーを習いたいなら、スキー教室リストをご確認ください。
007/慰めの報酬 (2008)
ジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)は、ヴェスパーの死をまだ乗り越えられず、彼女の死に関与した人物たちに復讐を誓います。「クオンタム」という組織のメンバーを追跡するなかで、ボンドはブレゲンツを訪れます。そこで、ブレゲンツ音楽祭の湖上舞台で上演されるオペラ『トスカ』が重要なシーンとして登場します。
ナイト&デイ (2010)
ジューン・ヘイブンズ(キャメロン・ディアス)は、隣の席のロイ・ミラー(トム・クルーズ)と会話を交わしますが、彼が逃亡中の秘密工作員だとは知りません。ジューンはまもなくボストンで銃弾を避け、ザルツブルクで屋根を飛び移り、スペインでは闘牛を交わす羽目に陥ります。
ザルツブルク市内のロケ地:
ハウス・フュア・モーツァルト(Haus für Mozart)
クラインス・フェストシュピールハウス(Kleines Festspielhaus)
リンツァー・ガッセ、リンツァー・プラッツル(Linzer Gasse, Linzer Platzl)
ザルツァッハ川(Salzach river)
シュターツブリュッケ橋(Staatsbrücke)
ルーキー・ハウス・ガール (2011)
元スケートボードチャンピオンのキム(フェリシティ・ジョーンズ)は、母親の悲劇的な死後、オーストリアにあるシャレー(山小屋、ヒュッテ)で働くことに。高級山岳リゾートのザンクト・アントン・アム・アールベルグのシャレーには、ビル・ナイ、ブルック・シールズ、エド・ウェストウィックらが演じる裕福な家族が住んでいました。
映画のほとんどはザンクト・アントン(St. Anton)で撮影されましたが、いくつかのシーンはガルツィグ(Galzig)でも撮影されています。
ラッシュ/プライドと友情 (2013)
F1ドライバーのジェームズ・ハント(イギリス、クリス・ヘムズワース)とニキ・ラウダ(オーストリア、ダニエル・ブリュール)の実際の物語を描いた映画。1976年のモーターレースシーズンを舞台に、二人のライバル関係が繰り広げられます。
ニキ・ラウダはウィーン育ち。映画の一部は中心部近くのシンガーシュトラーセ(Singerstraße)で撮影されました。
007/スペクター (2015)
ジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)は、謎の組織「スペクター」を調査するために、湖と雪山が美しいオーストリア・アルプスを訪れます。
ボンドガールと出会う、山頂の精神病院は実際にはice Qというレストランで、現代的に解釈したチロル郷土料理を楽しめます。その
レストランの隣にある007 ELEMENTSでは『スペクター』を中心に、24作のジェームズ・ボンド映画の魅力を紹介しています。
ミッション:インポッシブル5/ローグ・ネイション (2015)
イーサン・ハント(トム・クルーズ)と彼のチームは、IMFを壊滅させようとする国際的な反乱組織を一掃するという不可能なミッションに挑みます。
共演者には、ジェレミー・レナー、レベッカ・ファーガソン、サイモン・ペッグ、アレック・ボールドウィンが名を連ねています。
ウィーン市内の主なロケ地:
ウィーン国立歌劇場
シュテファン大聖堂
地下鉄ショッテンリング駅(Schottenring)
地下鉄カールスプラッツ駅(Karlsplatz)