森は奇跡を起こす
森はマインドフルネスの場所であり、ゆったりと時を過ごしたくなる場所です。新鮮な土の匂い、豊かな緑、静寂の中で過ごす時間。 森で過ごす時間は、私たちの心と体を落ち着かせ、気分をリフレッシュする効果をもたらします。一体何が私たちを自然に引き寄せるのでしょうか?
森では深呼吸が楽
深呼吸をして、日常のストレスを解消してください。森で時を過ごし、木々に囲まれていると、息を吸うたびに日常の締め切りや通知などによる、仕事の緊張がほぐれてくることにすぐに気付くでしょう。 それは当然です。木は二酸化炭素を吸収して酸素を放出する、ヒーリング特性を備えた完璧な天然の空気清浄機だからです。
科学的研究により、森林の空気には人体にプラスの影響を与える植物性物質が含まれていることが分かりました。 日本では、森の中で意識を集中させた時間を過ごす「森林浴」は、効果が認められたセラピー方法の一つになっています。 森を愛する人々は、この感覚を知っています。森や牧草地、湖や小川の中にいる時は、自然が私たちに活気を与えてくれるので、いくつかの心配事は霧のように消え失せてしまうように感じます。
なぜ精神的に充電することが、他の場所よりも自然の中の方が、本質的に楽に思えるのでしょうか? なぜ、森の中を歩くことが私たちの心にまるで魔法のような影響を与えるように思えるのでしょう? そして、科学は私たちの自然へ惹きつけられる生来の気持ちについて何と説明しているのでしょうか?
その理由の1つは、自然の感覚の豊かさです。季節によって、春の湿った土壌や夏の樹液、秋の鼻にツンとくる葉の匂い、冬の新鮮な「雪の空気」まで、さまざまな香りが私たちを包み込みます。 私たちのそれぞれの感覚は、自然の中で刺激されています。そういう感覚がずっと、または一時的に閉じ込められているオフィス環境とは全く対照的です。
また研究によると、森で過ごす時間は、細胞の有害な変化から体を保護する、いわゆる「キラー細胞」の50パーセントの増加につながる可能性があることも示されています。 それ故、コケや鳥のさえずり、木の梢に囲まれて過ごす森林浴が、オーストリアでも他の所でも大変人気があるのはよく理解できます。
スローペースな生活:自然の中でスローダウンすると、ストレスホルモンの減少、免疫システムの強化、血圧の低下、副交感神経系の強化など、目に見える身体的メリットが得られます。
木材の専門家であるエルヴィン・トーマは、「人間は今でも石器時代と同じソフトウェアで動いています。これにより、危険な状況で私たちの体がその状況に合わせて無から100まで(完璧に)対処できるようなっています。これが、脳の大脳辺縁系の目的です。これは完全に無意識のうちに機能します。それが、自然の中で時間を過ごすことがとても爽快に感じる理由です。私たちの潜在意識は自然を深いリラクゼーションの源として認識しています。」
オーストリアの森、滝、湖、そして山々がまさにそれを提供します。
トーマはかつてザルツブルク近郊の森林管理者でした。現在は木造家屋の製造会社を経営しています。 彼はまた、森林と木造建築が人間に与える影響について複数の本を書いています。
「大都市に住んでいると、光害や騒音から距離を置く機会がないことがよくあります」と彼は言います。 自然の中、特に森の中でリラックスすることは、きれいな空気と静けさを得るための解決策です。 「しかし何よりも、木々が生化学物質を相互に交換することが、私たち人間にとって真の万能薬となっています」とトーマは言います。
木はテルペンと呼ばれるこれらのメッセンジャー化学物質を放出して、害虫、菌類、バクテリアから身を守り、私たち人間は呼吸や皮膚を通じてテルペンを吸収します。 森を愛する人なら誰でも、その効果よって得られるリラクゼーションや活力に満ちた深い幸福感の事をよく知っています。
「人間は今でも石器時代と同じ処理プログラムで動作しています。だからこそ、自然の中で過ごす時間はとても爽快です。私たちの潜在意識は自然を深いリラクゼーションの源として認識しています。」
オーストリア国土のほぼ半分は森林で、特にシュタイヤマルク州、ケルンテン州、ザルツブルク州に分布しています。 首都ウィーンでさえ市の20%は森林で、「世界で最も緑豊かな都市」と呼ばれています。