ウィーン美術史博物館
ハプスブルク家の豪華なコレクションの数々
ウィーン美術史博物館(Kunsthistorisches Museum Wien, 略称KHM)は、皇帝フランツ・ヨーゼフ一世が膨大な帝室コレクションのために建設した、世界で最も重要な美術館の一つです。古代エジプトからギリシャ古代、そして18世紀末までの5千年にわたる品々は、ハプスブルク家の皇帝や大公の収集への情熱を物語っています。
絵画館には、デューラー、ラファエロ、ルーベンス、レンブラント、ティツィアーノ、フェルメール、ベラスケスなど数々の大作と、世界最大のブリューゲル・コレクションが展示されています。
美術工芸館(クンストカマー)では、ベンヴェヌート・チェリーニの世界的に有名な「サリエラ」をはじめとするユニークな金細工の作品、傑作ブロンズ像、象牙細工、貴重な時計、最も有名な芸術家による複雑なオートマタなど、2,200点のトップクラスの美術品を鑑賞することができます。
リング通りにある博物館の壮大な建築と、グスタフ・クリムトが関わった堂々たる階段の絵画群も、芸術的な楽しみを与えてくれます。
ウィーン美術史博物館
ハプスブルク家のコレクションのハイライト
世界最大のブリューゲル・コレクションでは12点のすばらしい作品にご注目ください。ピーテル・ブリューゲル(父)は16世紀の最も著名なフランドル芸術家の一人として、農民の生活と、見事な風景の複雑で緻密な描写で知られています。描かれた光景に点在するアリのように小さな人物たち、塔の上の小さな家々、そして背景にあるにぎやかな都市全体をじっくりと見てください。有名な「バベルの塔」に加え、「雪の中の狩人」、「子供の遊び」、「農民の結婚式」など、オランダ・ルネサンスの傑作が訪れる人を感動させてくれるはずです。ブリューゲルの間では、フランドルの画家の凝縮された創造力を文字通り肌で感じることができ、美術愛好家にはたまらない場所です。
ディエゴ・ロドリゲス・デ・シルバ・ヴェラスケスは、バロック時代の最も著名な肖像画家の1人であり、当時ハプスブルク家の分家であったスペイン王室のお気に入りでした。 彼の最も魅力的な作品のいくつかは、ウィーン美術史博物館に展示されています。 この巨匠が絵画を通して語りかけてくる物語を読み取ってください。興味深いハプスブルク家の支配者についての秘密が明かされるかもしれません。ベラスケスはもちろん、デューラー、ラファエロ、ティツィアーノ、カラヴァッジョ、ティントレット、ルーベンス、レンブラント、フェルメール、その他多くの巨匠の作品に魅了されることでしょう。
ウィーン美術史博物館を運営するKHM-Museumsverband社は、オーストリア国内の複数の美術館や歴史的建物を運営する文化施設の運営機関です。主なグループ施設と企画展をご紹介します。
ウィーン王宮宝物館、ウィーン宮廷馬車博物館が対象
皇妃エリザベート(シシィ)の足跡をたどってみましょう。ウィーン王宮宝物館で、シシィが所有していた魅惑的なジュエリーをご覧ください。3つの三つ葉のクローバーに多数の小さなダイヤモンドと3つのコブ型パールをセットしたブローチなどです。シシィのジュエリーで公開されているのは、このブローチのみです。また、シシィファンなら必ず訪れたいのが、ウィーン宮廷馬車博物館です。1885年にファニー・シャイナーが皇妃のためにデザインした1メートルもあるトレーンのついた壮麗な黒いドレスは、シシィファンの真のアイコンとして知られています。皇妃が考案した有名な「ウィーン式蜂腰」の印象的な姿が、このオリジナルドレスによって比類ない形でよみがえりました。また、現存する唯一の皇妃(当時最高の騎手とされた)の鞍と、今回初めて復元された皇后の「乗馬礼拝堂」には、無数の愛馬の肖像が描かれており、高い人気を集めています。
日本語オーディオガイド付き
ウィーン・ホーフブルク王宮内の新王宮(Neue Burg)にある博物館(世界博物館、古楽器博物館、狩猟博物館)を廻り、約650年に渡るハプスブルク帝国の中世後期から現代に至る歴史を紐解くハプスブルク家ツアー(House of Habsburg)。合計20箇所の説明ステーションでは、新王宮の建築から、ハプスブルク家の君主についてと結婚政策、帝国の芸術文化の促進について聞くことができます。
2024 年 12 月4 日~2025年8月17日
2025年のヨハン・シュトラウス生誕 200 年を記念して、演劇博物館はウィーン市庁舎図書館と協力し、世界的に有名な作曲家の生涯と作品に関する展示を行います。
ヨハン・シュトラウスは並外れたパフォーマンスで観客を魅了し、間違いなくスーパースターと言える特別な音楽家でした。シュトラウスのコンサートツアーは、ヨーロッパ全土のみならず、アメリカのボストンから、ロシアのパブロフスクまで、そしてヨーロッパ全土で行われました。
この展覧会では、ヨハン・シュトラウスの遺品から最も重要なオリジナルの物が展示されています。最も重要な展示物は、オペレッタ『こうもり』のオリジナルの楽譜です。初演の舞台美術のデザインと演劇博物館所蔵のオリジナルの衣装も一緒に見ることができます。
2025年3月11日 – 6月29日
ルネサンス時代の人々は、自然や時間をどのように理解していたのでしょうか?それを芸術の中でどのように表現されたのでしょうか? そして、季節や月の周期を描いた色彩豊かで精巧な作品は、どのような役割を果たしたのでしょうか?これらの問いを探求し、作品の美術史的な側面だけでなく、絵画が持つ意味や本来の用途、さらには依頼したパトロンたちの意図にも焦点を当てます。
特に、レアンドロ・バッサーノによる「ウィーン版 月暦画シリーズ」は、展覧会の中心的な作品となります。この大作は、なだらかな丘陵が広がる風景の中に、多様な動物や果物、農具、農作業の様子を細密に描き出し、見る者を魅了します。また、ルネサンス期のヴェネツィア共和国における日常生活を生き生きと伝える貴重な手がかりともなっています。
本展では、絵画や彫刻、タペストリーに加え、時計、地球儀、科学機器、カレンダー、貴重な手書き写本や印刷物など、約100点の芸術作品を展示します。これらを通じて、人々が世界をどのように理解し、その中で自らの位置を見出してきたのかを探ります。
また、通常は目にする機会の少ない貴重な貸出作品も含まれており、来場者に視覚的な楽しみを提供しています。
2025年9月30日 – 2026年1月25日
長らく忘れ去られていたフランドル・バロック時代の女性画家、ミカエリナ・ワウティエ(Michaelina Wautier, 1613/18–1689)にスポットを当てた大規模な展覧会。ワウティエは、ルーベンスやファン・ダイクの伝統を受け継ぐ画家であり、彼女の作品は17世紀絵画の中でも極めて重要な価値を持つものといえます。今回は、現存するワウティエの作品をほぼすべて集め、ウィーンでは初めて一堂に公開します。
彼女の代表作である壮大な作品《バッカナール》は、あまりの迫力ゆえに、長年、女性画家によるものとは認められなかったほどです。その作風は独創的な構成、繊細なユーモア、そして卓越した大胆さを備えています。
17世紀ヨーロッパ屈指の美術収集家であったハプスブルク家のレオポルト・ヴィルヘルム大公が、ワウティエの作品を収集したおかげで、今日、ウィーン美術史博物館は世界最多のワウティエ作品を所蔵しています。本展では、ワウティエの卓越した技術と作品の芸術的価値が、同時代の巨匠ルーベンスやファン・ダイクと同等であることを明らかにします。特に、彼女の傑作シリーズ《五感》が、ヨーロッパで初めて一堂に展示される点にも注目です。
2025年6月18日~10月5日
時代を超えた美の探求
美の理想とそれを実現するための方法は、何世紀にもわたり様々な文化で変化を遂げてきました。アンブラス城には、16世紀に造られたフィリッピーネ・ヴェルザーの浴室が残されており、当時の貴族の私的な浴場として貴重な文化遺産となっています。
「美の芸術 – 1000年の美」展では、古代から現代に至るまでの美と身体の手入れに焦点を当てます。伝統的な美容レシピ、特別な成分、手間のかかる製造工程、そして美容のための道具を通じて、時代ごとの「美の世界」を探ります。
美しさ、それとも単なる幻想?
人々は古来より、美しくあることを求め、さまざまな方法で身体の手入れをしてきました。現在の化粧品のルーツは、古代エジプトにまでさかのぼります。美容といえば女性のものと思われがちですが、実は男性も美を追求し、流行を取り入れていたことが分かります。
本展では、異なる時代の美の理想や、流行した化粧品トレンドにも注目します。化粧品の成分や製造工程の変遷をたどることで、美容アイテムがどのように発展してきたかを紹介。また、化粧は単に美しさを追求するだけでなく、病気や欠点を隠す役割も果たしていました。
ウィーン美術史博物館の最寄り駅
地下鉄:U3 Volkstheater駅、U2のMuseumsquartier駅は現在工事中
市電:D, 1, 2, 71, U2Z Burgring停留所
新王宮の最寄り駅
地下鉄:U1,U4 Karlsplatz駅
市電:D, 1, 2, 71, U2Z Burgring停留所
演劇博物館の最寄り駅
地下鉄:U1, U3 Stephansplatz駅
宮廷馬車博物館の最寄り駅
地下鉄:U4 Schönbrunn駅
美術史博物館 Kunsthistorisches Museum Wien
Maria-Theresien-Platz
A-1010 Wien
booking-tourist@khm.at