レオポルド美術館
ウィーン世紀末芸術の殿堂

ハプスブルク家の支配から市民の時代へと変わりつつある19世紀末から20世紀初頭、まるで一瞬の花火のように輝いたウィーン・モダンの傑作が並びます。

シーレやクリムトファンにはたまらない美術館!

レオポルド美術館は19世紀後半から20世紀初頭のモダニズムにかけて、オーストリア美術の世界的に重要なコレクションの一つとなっています。ビーダーマイヤー様式や歴史主義から、オーストリア表現主義に至るまで、8,300点以上の作品を所蔵しています。

中でも見どころは3フロアから成る「ウィーン1900」展。世界最大級のコレクションを誇るエゴン・シーレの作品群をはじめ、グスタフ・クリムト、リヒャルト・ゲルストル、コロマン・モーザーの名作、そしてオスカー・ココシュカに関する常設展示としては国際的にも屈指の規模を誇ります。

また、ウィーン工房によるヨーゼフ・ホフマンやコロマン・モーザーの貴重な作品の数々や、古典的モダニズムから現代美術までを紹介する魅力的な企画展も見逃せません。

レオポルド美術館で、傑作の数々を間近に体感してみませんか?

ウィーン世紀末を駆け抜けた若き天才

エゴン・シーレ

子供時代から絵の才能を認められていたエゴン・シーレは、16歳でウィーンの造形美術アカデミーに入学。ウィーンでシーレはグスタフ・クリムトと知り合い、次第にクリムトの影響を大きく受けることになります。その後、わずか2年でシーレは超保守的なアカデミーを去り、芸術的功績を模索するため、友人たちと「新たなる芸術団」を結成し、リーダーを務めました。シーレは常に良い友や後援者に恵まれ、仕事の依頼も多く得ていました。一般的にはシーレの画は前衛的でユニークで、挑戦的と評価されていました。その神経質で粗い線により肉体的な特徴が誇張され、精神状態の不安定さ、表現主義における脆さが明確に表れていました。彼の美しいとはいえない裸の絵やスケッチはエロチシズムというより、むしろ運命や悲劇を感じさせるものでした。1918 年、シーレと妻エーディットはスペイン風邪にかかり、妻の死後、彼も3日後に死亡、享年28 歳の若さでした。エゴン・シーレといえば、奇抜な肖像画や人物で最もよく知られています。 しかし現在、絵画の世界でシーレの風景画は注目を集めています。

エゴン・シーレについてもっと知る

ウィーン世紀末美術の中心的存在

グスタフ・クリムト

レオポルド美術館ではクリムトの代表作『死と生』をはじめ、多くの作品を所蔵しています。​この作品は、人生のさまざまな段階を象徴する人物たちが一つの塊となり、死神と対峙する構図で描かれています。​当初、背景は金色でしたが、1915年に灰色に変更され、モザイク模様が追加されました。​この変更により、装飾的な要素が抑えられ、より深い象徴性が強調されています。​

また、クリムトがウィーン大学の大講堂天井画として制作した「医学」の複製も展示されています。​この作品は、生命の流れを表す裸体の人物群と、死を象徴する骸骨、そして医療の女神ヒュギエイアが描かれており、医学の力では避けられない生と死の循環を表現しています。​当時、この作品は伝統的な医学の象徴から逸脱しているとして激しい批判を受け、最終的に大学には設置されませんでした。​オリジナルは第二次世界大戦中に失われましたが、現在ではAI技術により復元され、ウィーン医科大学の施設外壁に再現されています。​

レオポルド美術館では、クリムトの革新的な作品群を通じて、彼がどのようにして伝統的な芸術観を打ち破り、新たな表現を追求したのかを体感することができます。

レオポルド美術館の2025年の主な企画展

2025年3月28日~7月13日

エゴン・シーレ:最後の数年間

「変化の時代──エゴン・シーレの最後の数年間(1914–1918)」展では、シーレの人生と芸術的歩みを重ねながら、1914年から1918年にかけて制作された後期作品における断絶と変化に焦点を当てます。
この時期はこれまで比較的注目されてこなかったものの、シーレは1910年から1914年にかけて追求していた急進的な形式の実験から徐々に離れ、より深い共感に満ちた写実的な表現へと移行していきました。彼の線は落ち着きと流麗さを増し、有機的なフォルムへと進化。描かれた人物像には、より肉体的な豊かさが宿るようになります。

また本展では、これまで未公開だったアーカイブ資料、たとえば妻エディト・シーレによる未発表の日記などを通じて、この重要な時期への新たな洞察を提供します。

2025年4月10日~7月27日

ビーダーマイヤー:ある時代の興隆

ビーダーマイヤー時代(1814/15年のウィーン会議から1848年の革命まで)は、政治的混乱と社会的激動の中でヨーロッパ社会が大きく変容した時代でした。ナポレオン戦争終結後、ウィーン会議により欧州秩序が再構築され、君主制の復古とともに民主的な動きが抑えられ、検閲が強化されていきます。

その一方で、経済成長とともに新興市民層(ブルジョワジー)が台頭し、彼らは自身の姿を投影する芸術を求めるようになります。家庭は安らぎの場とされ、日常の中にある秩序や調和を重んじる価値観が芸術表現に反映されました。ウィーンの森やアルプスの風景、さらには遠方の都市を描いたヴェドゥータ(景観画)も人気を博します。

本展では、ウィーンをはじめ、ブダペスト、プラハ、リュブリャナ、ヴェネツィア、ミラノなどハプスブルク帝国下の多様な都市に注目。ウィーンのヴァルトミュラーやアマーリング、ブダペストのバラバーシュ、プラハのマーネス、ロンバルディア地方のハイエッツやトミンツといった地域ごとの巨匠たちの作品を紹介します。

2025年9月4日~2026年1月18日

隠されたモダニズム:1900年頃のオカルティズムの魅力

この展覧会では、19世紀末のウィーンにおける精神世界や神秘主義への関心と、それが芸術に与えた影響を探ります。産業化と物質主義への批判が高まる中、多くの人々が自然志向の生活や精神的な救済を求め、画家ムンクなど、画家や知識人たちは目に見えない生命エネルギーの存在を信じ、新たな芸術的インスピレーションを得ました。

リヒャルト・ゲルストル、アルノルト・シェーンベルク、エゴン・シーレ、オスカー・ココシュカ、マックス・オッペンハイマーらは、モデルを霊的な存在として捉え、夢や無意識の世界を表現しました。​このような神秘主義や心理学の影響が、抽象絵画の誕生にも寄与しました。​

この展覧会は、魔術的思考の暗い側面を無視することなく、「新しい人間像」を追求した芸術家たちの試みを紹介し、現代への批評的視点にも目を向けます。

その他のお楽しみ

アクセスと連絡先

アクセス:
地下鉄U3 フォルクステアターVolkstheater駅下車、
地下鉄U2 ミュージアムクオーターMuseumsquartier駅下車
市電1,2,Dでドクター・カール・レンナー・リング Dr. -Karl-Renner-Ring停留所下車

開館時間:
火曜以外の毎日&祭日10~18時
7月と8月は毎日

レオポルド美術館 Leopold Museum
MuseumsQuartier, Museumsplatz 1, A-1070 Wien
Tel. + 43 1 525 70 1555
besucherservice@leopoldmuseum.org
www.leopoldmuseum.org/en/

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