2025年のオススメ観光地
Willkommen, liebe Gäste aus Japan!
東西に長い国土を持ち、地域ごとに突出した個性で旅行者を魅了するオーストリア。数多くの都市と観光施設の中から、特に日本のお客様を心待ちにしている8か所をご紹介します。
モーツァルトを輩出した音楽の都
ザルツブルク(Salzburg)は、モーツァルトの故郷であり、映画『サウンド・オブ・ミュージック』の舞台として知られる古都で、ユネスコ世界遺産に登録されています。街のシンボルは、メンヒスベルク山から旧市街を睥睨するホーエンザルツブルク城(Hohensalzburg)。堅牢な中世の城塞建築ですが、豪華な装飾で彩られた大司教の居間や黄金の間は圧巻です。高台からはアルプスの山並みが目前に広がります。
1756年にモーツァルトが生まれた家(Mozart Geburtshaus)は、記念館になっており、幼少期のバイオリンや書簡などが展示されています。また生家から近い大聖堂(Dom)には、神童が使った洗礼盤が残っています。
またザルツブルクは、ビールの名産地でもあります。モーツァルトも飲んだシュティーグル(Stiegl)社のビール醸造所では、見学と試飲もできます。
ザルツブルク観光にはザルツブルク・カードが便利です。公共交通機関の利用やほぼすべての観光施設への入場が含まれています。また2025年5月からはザルツブルク市を含むザルツブルガーランドに宿泊する観光客には、宿泊期間中エリア内の公共交通機関(一部例外あり)を無料で利用できるゲスト・モビリティ・チケットが提供されます。
ミュージカル映画の金字塔
『サウンド・オブ・ミュージック』は1965年に公開されたアメリカ映画で、ジュリー・アンドリュースとクリストファー・プラマーが主演し、ロバート・ワイズがメガホンを取りました。音楽は黄金のデュオと呼ばれたロジャース&ハマースタインが手掛けています。
舞台は1930年代、ナチスに併合される直前のザルツブルクで、撮影は大部分、ザルツブルクとその周辺のアルプス地域で行われました。ロケ地の多くは撮影当時の姿を留めており、世界中からの訪れるファンを魅了しています。
ミラベル庭園(Mirabellgarten)を訪れれば、風に乗ってドレミの歌が聴こえてきそう。家庭教師に派遣されたマリアが自分を鼓舞するレジテンツ広場(Residenzplatz)、トラップ一家の豪邸となったレオポルヅクロン宮殿(Schloss Leopoldskron)、二組のカップルが恋を囁くヘルブルン宮殿(Schloss Hellbrunn)のガラスのあずまやなど、見どころは数え切れません。市内と郊外のロケ地を効率よく巡るには、ザルツブルク市観光局推薦のツアーへの参加がオススメです。
豊かな土壌を有する美食の都
オーストリア第2の都市であり、シュタイアマルク州の州都、そしてユネスコ世界遺産都市のグラーツ(Graz)。地中海性の温暖な気候に恵まれ、南欧の雰囲気が漂う文化都市です。赤い瓦屋根の旧市街は、中世のたたずまいを色濃く残しています。シュロスベルクの丘(Schlossberg)にそびえる時計塔、シュタイアマルク州庁舎(Landhaus)と武器博物館(Zeughaus)、"フレンドリーな宇宙人"の愛称を持つ現代博物館(Kunsthaus Graz)は、必ず訪問したい観光名所です。大阪城研究に一役買ったエッゲンベルク宮殿の豊臣期大坂城下屏風絵も見逃せません。
グラーツは美食も有名です。その理由は、シュタイアマルク州の肥沃な土壌で育つ農産物が集まるから。旬を味わえるレストラン、毎朝市内各地で開かれるファーマーズマーケット、そしてブランチイベントやトリュフ祭りといったグルメイベントが年間通じて開催されています。グラーツ市観光局サイトのイベントカレンダーでは、グルメイベントだけを抽出することもできます。
※毎年8月恒例のグルメイベント「ロング・テーブル・オブ・グラーツ」は2025年の開催はありません。次回は2026年8月22日の予定です。
ドナウのほとり、ワインと歴史
ウィーンから日帰り圏内のニーダーエステライヒ州は、芸術、音楽、自然、美食が見事に融合した魅力的な地域です。州内には古い城や宮殿が点在し、オーストリアらしい文化と伝統を感じることができます。また、年間通じて数多くの音楽祭やイベントが開催され、音楽ファンにはたまりません。特に夏のグラーフェネック音楽祭では、ニーダーエステライヒ・トーンキュンストラー管弦楽団が素晴らしい音色を響かせ、観客を魅了します。
ユネスコ世界文化遺産に登録されたヴァッハウ渓谷では、ブドウ畑と歴史的建物が織りなす美しい風景に心を奪われます。自然美を愛でながら主要観光地を効率的に回れるドナウ川クルーズがお勧めです。
ニーダーエステライヒ州はまた、オーストリア最大のワイン産地でもあります。伝統的なホイリゲで地元のワインと郷土料理を楽しみながら、温かなひとときをお過ごしください。
オーストリア最高峰へと続く道
グロースグロックナー・アルプス山岳道路(Großglockner Hochalpenstraße)は観光を目的とした全長48 ㎞の自動車道路です。ホーエ・タウエルン国立公園(Nationalpark Hohe Tauern)を通り、海抜2,571mまで達し、オーストリア最高峰グロースグロックナー山の麓を辿り、パステルツェ氷河(Pasterze)に至ります。標高2,369mの展望台フランツ・ヨーゼフス・ヘーエ(Kaiser-Franz-Josefs-Höhe)からは、標高3,798mのグロースグロックナー山の斜面と雪原、それらを取り囲む3千メートル級の峰々の景色が広がります。1856年には同じ眺めを、皇帝フランツ・ヨーゼフ1世夫妻が楽しみました。展望台にはレストランがあり、また近くの登山道ではマーモットや、運が良ければアイベックス、カモシカやワシも見ることができます。
グロースグロックナー・アルプス山岳道路を利用するにはレンタカーやレンタバイクが一般的ですが、夏期は観光専用のグロックナーバス(Glockner Bus)が運行します(2025年は5月27日~9月30日の毎週火曜日。7月と8月は毎週火・木)。グロックナーバスの最新情報およびその他のツアーについてはこのページをご参照ください。またグロースグロックナー訪問を含む旅行会社のツアーに参加するのもよいでしょう。グロースグロックナー・アルプス山岳道路自体は、積雪の状況にもよりますが、毎年5月初め~11月初めごろまで開通しています。
ハプスブルク家の宝物庫
ウィーン自然史博物館と対を成す、壮麗なウィーン美術史博物館(Kunsthistorisches Museum)、通称KHM(カーハーエム)。ハプスブルク家の歴代皇帝が世界中から蒐集した膨大なコレクションを収蔵するため、皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の命により1891年に完成しました。古代エジプト・ギリシャから18 世紀後半まで約5千年にわたる美術品は、ハプスブルク家の庇護と目利きを物語っています。絵画では、ルーベンス、レンブラント、ラファエロ、フェルメール、ベラスケス、ティツィアーノ、デューラーの名作を始め、ブリューゲルの世界最大のコレクションが並びます
財宝・珍品コレクションを展示する美術工芸収集室(Kunstkammer)では、ベンヴェヌート・チェリーニの金の塩入れ『サリエラ』をはじめ、見事なブロンズ像、繊細で奇妙な象牙細工、貴重な時計、複雑なオートマタ、奇妙な科学機器、貴重なゲームなど、約2,200の美術・工芸品が展示されています。
若きグスタフ・クリムトが共同制作した一連の壁画が並ぶ大階段の間と、「世界一美しいカフェ」と称されるクーポラカフェも見逃せません。
またウィーン美術史博物館は、オーストリア各地に博物館を持つミュージアム運営団体でもあります。下記リンクでは傘下の博物館・美術館の情報もご紹介しています。
エゴン・シーレと世紀末美術
レオポルド美術館(Leopold Museum)は、19世紀末から20世紀初頭にかけてのモダニズム初期のコレクションを所蔵する私設美術館です。中心を成すのはエゴン・シーレの世界最大コレクション。『ほおずきの実のある自画像』『モルダウ河畔のクルマウ』『母と子』『悲しみの女』といった、若き天才の内面をさらけ出す傑作が並びます。シーレが師と仰いだ巨匠グスタフ・クリムトの絵画も充実しており、傑作とされる『死と生』や『アッター湖畔』などがあります。これらは「1900 年代のウィーン」というテーマのもと、常設展示されています。
コロマン・モーザーとヨーゼフ・ホフマンの「芸術と工芸」の作品群では、この時代のデザインの先進性がわかります。また、表現主義のパイオニア、リヒャハルト・ゲルストルとオスカー・ココシュカの作品のほか、1918 年から1938 年のオーストリア美術コレクションを有しています。
毎月第1木曜日の18時~21時は、PORR社の協賛により入場が無料です。
2020年にはMQリベッレ(MQ Libelle)という屋上スペースがオープンしました。ウィーン美術史博物館、自然史博物館の双子建築をはじめ、素晴らしい眺望が楽しめます。ここには、美術館の入場券が無くても入れます。
ウィーンに現存する唯一の住居
モーツァルトハウス・ヴィエナ(Mozarthaus Viennaは、モーツァルトが28歳だった1784年9月29日から1787年4月23日まで2年半の間、一家で暮らしていたアパートです。引っ越しの多かったモーツァルトがウィーンで9番目に住んだ家とされ、傑作『フィガロの結婚』を作曲した場所としても知られています。
この場所に住んでいた期間は、モーツァルトのキャリアの絶頂期であり、もっとも羽振りのよい時期でもありました。ウィーンの要であるシュテファン大聖堂から徒歩数分という立地は、昔も今もウィーンの超一等地。成功者が住むにふさわしい場所です。
モーツァルト一家は建物の1階(日本の2階)に暮らしていました。博物館ではモーツァルトが暮らしていなかった上層階も展示室として使い、当時の生活環境や音楽的背景を解説しています。
世界中で今も愛されるモーツァルトを身近に感じる資料が多数展示されている「モーツァルトハウス・ヴィエナ」で、人間ヴォルフガングに迫ってみましょう。
ウィーンの大人気スポット
1964年開業のドナウタワーは、オーストリアでもっとも高い建築物(252メートル)です。150メートルに位置する展望台からはウィーンの360度パノラマビューを堪能できます。
タワーの最上階は回転するトゥルム・レストラン(Turm Restaurant, トゥルムはドイツ語でタワー)とトゥルム・カフェ(Turm Cafe)になっており、ウィーンの街並みがゆっくりと流れていく様子を眺めながら、オーストリア料理をアレンジしたフュージョン料理や高級ワイン、カイザー・グーゲルフプフやアプフェルシュトゥルーデルといった伝統スイーツを楽しめます。1階にはドナウブロイ・ブルワリー(Donaubräu)があり、クラフトビールとオーストリアの定番料理を提供しています。
密かな人気は、展望台の滑り台。ヨーロッパで最も高い位置にある滑り台で、165メートルの高さから、40メートルの透明なスライダーを一気に滑り降り、150メートルの展望台へと到達します。わずか7~9秒で、最高時速18kmに到達するほどのスリル満点体験。我こそはという勇者はぜひチャレンジを!