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    オーストリアの美しい図書館4選

    オーストリアの宮殿や修道院には、知識を重んじた先人らの思いを感じられる図書館が点在しています。息を呑むほど美しい知の殿堂へ、ようこそ。

    オーストリア国立図書館プルンクザール(Prunksaal der Österreichischen Nationalbibliothek)
    ハプスブルク皇帝が暮らしたホーフブルク王宮の一部である「オーストリア国立図書館プルンクザール」は、1723年に皇帝カール6世(マリア・テレジアの父)の命によって建設された壮麗な図書館です。宮廷建築の巨匠フィッシャー・フォン・エルラッハ父子によるバロック建築の傑作であり、天井にはダニエル・グランによる華麗なフレスコ画が描かれています。中央には英雄姿のカール6世の彫像が鎮座しています。歴史的価値の高い手稿や稀覯本を含む20万冊以上の蔵書が18メートルに達する天井ギリギリまで陳列されている光景は、圧巻の一言です。

    年間を通じてさまざまな特別展示があり、2024年のハイライトは作曲家アントン・ブルックナーの生誕200年記念展(~2025年1月26日)です。

    ※オーストリア国立図書館プルンクザールは、ホーフブルク王宮のミヒャエル門からアルベルティーナ広場へと向かう右手、ヨーゼフ広場に位置しています。新王宮にあるオーストリア国立図書館は、現在も利用されている公立図書館ですので、間違えないようにご注意ください。


    クロスターノイブルク修道院図書館(Stiftsbibliothek Klosterneuburg)

    クロスターノイブルク修道院はウィーンの森の北部に位置する修道院で、バーベンベルク辺境伯レオポルド3世により1133年に設立されました。附属図書館は27万冊の蔵書を誇るオーストリア最大の私設図書館で、1250点の写本と860点のインキュナブラ(1501年以前の印刷本)がコレクションの中核を成しています。聖レオポルドから修道院に寄贈された聖書(CCl 1)と、ゲオルク・ミュスティンガー修道院長(1418-1442)が依頼した4巻からなる豪華な絵の合唱本(CCl 65-68)は、特に注目に値します。

    周辺一帯はワイン生産が盛んで、クロスターノイブルク修道院にはオーストリア最古のワイン醸造所があります。ここで開発されたのが、オーストリアを代表する赤ワイン品種のツヴァイゲルトです。ウィーンからの日帰り旅行にオススメです。


    メルク修道院図書館(Stiftsbibliothek Melk)
    ベネディクト会に属するメルク修道院は、ドナウ川沿いのワッハウ渓谷の崖上に建つ巨大かつ壮麗なバロック建築です。1735年にバロック様式に改築された付属図書館は、天井に描かれたパウル・トロガーのフレスコ画が特徴的です。所蔵書籍数は約10万冊で、1800点の写本と750点のインキュナブラが含まれます。このうち約1万6千冊が観覧者に公開されている図書館メインホールに陳列されており、残りは階下の保存庫に眠っています。メインホール内の書見台には、古代の写本や初期の印刷書籍が展示され、学術的にも重要なコレクションを観ることができます。

    冬期閉館:毎年1月初旬~3月下旬

    ※2022年~2032年まで図書館の改修工事中ですが、メインホールの見学には支障がありません。2026年にはメインホールの工事が始まり、一部観覧できなくなる可能性がありますが、工事による完全閉館の予定はありません。詳しい情報は公式サイトをご確認いただくか、直接修道院にお問い合わせください。


    アドモント修道院図書館(Admonter Stiftsbibliothek)
    白亜の内装が優美なアドモント修道院図書館は、世界最大の修道院図書館として知られています。1764年頃から計画され、10年以上もの時間をかけて1776年に完成しました。設計した建築家ヨーゼフ・フーバー(1715-1787)は啓蒙主義の理想に傾倒し、「心と同じように部屋も光で満たされるべきである」と考えました。その精神は、当時80歳を超えていた画家バルトロメオ・アルトモンテが1775年と1776年の夏の間に描いた7枚の天井画にも反映され、光と知識の象徴としての図書館の役割を表しています。

    全蔵書は約20万冊で、そのうち約7万冊が図書館ホールに陳列されています。そのなかには1400点の写本(8世紀~)と530点のインキュナブラも含まれます。

    冬期閉館:毎年12月中旬~3月中旬

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